• No : 2485
  • 公開日時 : 2021/09/02 11:57
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Jカーブ効果

Jカーブ効果
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回答

Jカーブ効果(J-Curve Effect)とは、為替相場が自国通貨安・外国通貨高になったにも関わらず、為替相場が変化した当初は貿易収支が悪化し、その後、時間が経過するにつれ、貿易収支が改善し始める効果を意味する。横軸に時間を測り、縦軸に貿易収支を測ったとき、貿易収支の辿る経路がアルファベットの「J」に似ていることからこのように呼ばれる。
 
これを図示したものが、下図である。初期時点ゼロにおいて、貿易収支は均衡していたと想定し、その下で、為替相場が自国通貨安・外国通貨高に変化したと想定している。
 
Jカーブ効果
 
為替相場が自国通貨安・外国通貨高になると、輸出量が増大し、輸入量が減少する一方、輸入財価格は上昇する。このとき、貿易収支が改善するためには、輸出量の増大効果と輸入量の減少効果が、輸入財価格の上昇効果を上回る必要がある。
 
しかしながら、(1)輸出入の大半が数か月単位の長期契約により取引される、(2)輸入品の代替財を国内財から見つけるのに時間がかかる、また、(3)資源輸入国にとっては、国内で生産活動を行うため、資源の輸入を削減できない、などの理由により、短期的には輸出量が大きく増大したり、輸入量が大きく減少したりすることはなく、輸入財価格の上昇効果が上回る。このため、マーシャル=ラーナー条件が満たされず、Jカーブ効果が発生する。