• No : 2415
  • 公開日時 : 2021/02/26 16:10
  • 更新日時 : 2022/11/07 14:11
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在庫理論アプローチ

在庫理論アプローチ
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在庫理論アプローチ(Approach to Inventory Theory)とは、貨幣の範囲を現金通貨に限定し、取引動機に基づく貨幣保有の便益とコストから最適な貨幣保有残高を分析したものであり、ボーモル・トービンモデルとも呼ばれる。
 
貨幣保有を増大させると、その分を債券として保有した場合に受け取ることの出来た利子である機会費用が増大する。一方、貨幣保有を増大させると、預金を引き出す回数が減少するため、取引コストを削減できる。
 
今、初期時点においてY円の所得を銀行預金として保有する家計が、時間を通じて一定の消費水準を保つために、1年間でY円をN回に分けて預金口座から引き出すとする。また、預金を引き出す際に1回あたりf円の取引コストが発生する一方で、預金者は預金残高に応じて利子iを受け取ることができるものとする。家計は利子収入と取引コストの差である収入を最大化するように引き出し回数Nを決定する。このとき、平均貨幣保有残高はY/2Nとなり、在庫理論アプローチにおける最適な平均貨幣保有残高は、下記式で示される。
上式より、在庫理論アプローチにおける貨幣需要は、所得Yが増加したとき、金利iが低下したとき、取引コストfが増大したとき、それぞれ増加することがわかる。また、貨幣保有残高が金利に依存し、所得Yが正比例の関係ではないという点で、貨幣保有残高が名目所得に比例して決定されるとする古典派の貨幣数量説と異なる。