今、ある期(t期)の期首における名目マネーストックをMt、物価水準をPtと表すと、通貨発行益は、
と表される。上式の分子は、当該期(t期)から来期(t+1期)にかけて新たに発行された貨幣、すなわち、名目マネーストックの増加分を表す。これを物価水準で割ると、新たに発行された
貨幣で購買可能な(平均的な)財の単位数となり、これは、貨幣の発行により民間部門から政府部門(中央銀行)へ移転した購買力を表す。
また、上式は、
と書き直せる。
ここで、右辺第1項は、t期からt+1期にかけての実質貨幣残高の増加分を表し、経済成長に伴う実質貨幣需要の増大に対応する部分である。一方、右辺第2項は、実質貨幣残高Mt+1/Pt+1にインフレ率(Pt+1- Pt)/ Ptを掛けたものとなっており、民間部門の保有する実質貨幣残高に対する課税部分と解釈できる。