マルチプルは、
企業価値若しくは
株式価値に対する売上や利益、純資産などの特定の指標の倍率を表す。例えば企業価値が100として、
EBITDAが10であれば、マルチプルは10倍である。一般にマルチプルは
企業価値評価の場面において用いられ、マルチプルを用いた評価手法(類似上場企業比較法及び類似取引比較法)のことをマルチプル法と呼ぶ。
マルチプルには代表的なものがいくつかあり、それらを以下に記す。
EV/EBITDA(「EBITDAマルチプル」と呼ぶ。)
EV/EBIT(「EBITマルチプル」と呼ぶ。)
EV/Sales(「Salesマルチプル」と呼ぶ。)
P/E(
PER)
P/B(
PBR)
上の3つのマルチプルは企業価値マルチプルと呼ばれ、下の2つは株式価値マルチプルと呼ばれる。分母と分子は、株主と債権者の双方に帰属するものか、株主のみに帰属するものか、その平仄を揃える必要があり、例えば企業価値マルチプルにおいては、企業価値に対応する(即ち債権者と株主に帰属する)指標を分母に用いる必要がある。ここで純利益は債権者への支払利息を引いた後の利益であり、株主のみに帰属するため、企業価値マルチプルには用いてはならない。