• No : 1306
  • 公開日時 : 2019/06/28 13:31
  • 更新日時 : 2022/05/17 09:34
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ディスクロージャー

ディスクロージャー
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回答

ディスクロージャー(Disclosure、 情報開示)とは、企業による私的情報開示のことである。金融の文脈では、金融商品取引法にもとづく情報開示を指すことが多い。ディスクロージャーには情報の非対称性などから生じる問題を解決する機能が期待されており、金融システムを支える重要な要素である。
 
法令等で開示が要請されるディスクロージャーを強制開示と呼び、要請されていないものを任意開示と呼ぶ。強制開示の例として、金融商品取引法で開示が要請されている有価証券報告書が挙げられる。任意開示の例として、企業がわかりやすく自社の事業、業績、財務状況などを説明する「アニュアルレポート」、「決算説明資料」やIR活動などが挙げられる。
 
近年、財務諸表等で開示される財務情報の相対的有用性が低下していることが指摘されている。そこで、それ以外の、例えば、自然言語で開示される非財務情報が財務情報を補完する重要な情報として注目されるようになってきた。
 
 
さらに詳しく

 
 
【ポイント】
  • 私的情報とそれに関わる問題
ディスクロージャーは、企業自らによる情報開示のことである。金融商品取引法の目的である、経済発展及び投資家保護に資する情報開示を指すことが多い。
 
企業は資金調達を行ったり、生産活動を行ったりする際に、企業の外部者と関わりを持つ。そこで、企業が何を行っているのか、どのような性質であるかが外部者に対して明らかになっていない場合、情報の非対称性などから生じる問題が発生し、資金調達や企業活動が困難になることがある。また、投資家の視点から見れば、効率的な資金配分が困難になる。このとき、企業がディスクロージャーを行うことによって、こうした問題を部分的に解決することが期待される。
 
ディスクロージャーは、その開示が法令や上場規定によって要請されているか否かによって類型化できる。法令等により開示が要請されるディスクロージャーを強制開示と呼ぶ。これに対して、法令等が開示を要請していないものを任意開示と呼ぶ。前者の例では、金融商品取引法が開示を要請する有価証券報告書や財務諸表が挙げられ、後者の例としては、企業がわかりやすく自社の事業、業績、財務状況などを説明する「アニュアルレポート」、「決算説明資料」、IR活動などが挙げられる。
 
上記の通り、企業は自発的に情報を開示するインセンティブを有していると考えられるが、各企業の自発性だけに委ねては、開示内容の信頼性が担保されない可能性がある。これに対しては、法令によって一定のルールを定めることによって、これらの問題を部分的に回避することができる。
 
また、社会一般に公開される情報は公共財としての性質があるため、フリーライダーの問題が生じる可能性がある。この問題が生じないように、政府がディスクロージャー制度の整備を行っている。強制開示を正当化する理由は他にもいくつかあるものの、開示の在り方についての結論は定まっていない。
 
  • 財務情報と非財務情報
ディスクロージャーは、その開示内容によって、2つに分類することができる。ひとつが、財務情報である。具体的には、財務諸表で報告されている会計項目や、アニュアルレポートなどで提示されている財務目標が挙げられる。もうひとつが、非財務情報である。これは、例えば、自然言語によって報告されている、財務諸表で報告されていない情報を指す。例えば、有価証券報告書内の事業リスクに関する記述や、CSR報告書でのCSR活動に関する説明が挙げられる。
 
伊藤レポートは、財務情報の相対的な有用性が低下しており、それを埋め合わせるために非財務情報を開示・利用することを提言している。
 
 
  • ディスクロージャーの有用性と逆効果
ディスクロージャーの品質を改善することで、企業の資本コストが低下することが明らかにされてきた。
 
一方で、望ましいと考えられていた開示方法が、意図せざる結果を生じさせていたことも明らかになっている。
たとえば、四半期財務報告は適時的な情報を投資家に提供するという観点から、世界的にも制度整備が行われてきた。しかし、開示頻度が高まることで経営者が短期的な利益を追求する、いわゆる、ショートターミズムが生じている面も明らかにされてきた。
 
望ましいディスクロージャー制度や政策がどのようなものかについては、更なる研究が求められている。