CIRモデル(Cox‐Ingersoll‐Ross Model)とは、
金利の期間構造を一般均衡を用いて記述した数理ファイナンスにおける代表的な金利モデルの1つであり、Cox、Ingersoll、Rossによって1985年に発表されたモデルである。
CIRモデルでは、瞬間利子率(現在から次の期間までの間に適用される金利)は、時間を通じて以下のような確率過程に従って変化することが導出される。ただし、κ、θ、σはパラメータであり、Ztは標準ブラウン運動(Wiener過程)に従うとされる。
θは長期的な金利水準を表すパラメータとして解釈される。上記のような確率過程に従う変数は平均回帰的であるといわれ、長期的な水準θから乖離した水準にある場合には、長期水準に回帰するように変化すると期待される。ここで、κは平均回帰の速度を表すパラメータである。
CIRモデルでは、Vasicekモデルにおいて金利が負の値を取り得るという欠点が修正されている。特に、2κθ>σ2というパラメータの制約の下では、金利が0に到達することはなく、金利が負の値を取らないことが知られている。
(参考文献)
Cox, J. C., Ingersoll Jr, J. E., and Ross, S. A. (1985a). An intertemporal general equilibrium model of asset prices. Econometrica: Journal of the Econometric Society, 363-384.
Cox, J. C., Ingersoll Jr, J. E., and Ross, S. A. (1985b). A Theory of the Term Structure of Interest Rates. Econometrica: Journal of the Econometric Society, 385-407.