オプション(Option)とは、
デリバティブの1種で、ある時点(満期日)までに、その時点での価格に関係なく、一定価格で
原資産を買う権利、または売る権利を金融商品としたものである。
さらに詳しく
【ポイント】
コール・オプションとプット・オプションの
ペイオフは、図1のように満期時に原資産価格が
権利行使価格を上回っているか、または、下回っているかによって決定する。
【図1】ヨーロピアン・オプションのペイオフ
コール・オプションの買いにおいて、原資産価格が権利行使価格よりも下回っていた場合、権利を行使しないため、オプションのプレミアム分だけの損失を被る。そのため、権利行使価格までは水平な線となる。また、満期時点で原資産価格が権利行使価格よりも上回っていた場合、権利を行使し、市場より安い権利行使価格で原資産を手に入れることができる。それを即座に市場で売却することでその差額分の利益を得ることができる。したがって、原資産価格が権利行使価格を上回るとき、オプションのペイオフは45度の右上がりの直線となる。
コール・オプションの売りの場合、この逆となり、原資産価格が権利行使価格以下のときはプレミアム分の収益を獲得し、原資産価格が権利行使価格上回ると買い手が権利行使するため、オプションの売買による収益は45度の右下がりの直線となる。
プット・オプションの買いにおいて、原資産価格が権利行使価格を下回っている場合、権利を行使することで、市場よりも高く売ることができるため、原資産価格と権利行使価格の差額分だけ収益を得る。原資産価格が権利行使価格を超えた場合、権利を行使せず、プレミアム分だけ損失を被る。そのため、プット・オプションの買いの収益は 権利行使価格までは右下がりの直線となり、その後水平となる。プット・オプションの売りの場合、この逆の収益となる。
このようにオプションから得られる収益は、満期時における原資産と権利行使価格の関係とオプションのプレミアムによって決定する。なお、プレミアムは、
本源的価値と
時間的価値によって決定する。
将来時点での契約を決定する
先物取引・先渡取引と異なり、オプションは買い手にとっては権利(売り手にとっては義務)であるため、買い手に有利な状況であるときにのみ権利を行使することができる。このため、将来の不確実性をヘッジしつつも、収益機会を狙うといった場合に用いられる。
例えば、現在の原資産が権利行使価格と同じ価格で売られていたとする。このときの原資産の価格変化に対するペイオフは図2の直線のようになっており、投資家は購入後の価格下落時のリスクをヘッジしたいと考えているとする。このとき投資家は、原資産を購入すると同時にプレミアムを支払い、プット・オプションを購入することによって、価格下落時の損失をヘッジすることができる。プット・オプションのペイオフは、権利行使価格以下のときは右下がりで、権利行使価格以上のときは水平の直線となるペイオフとなるため、原資産と組み合わせることによって、価格下落時にはプット・オプションの利益と原資産の損失が互いに打ち消しあう。
【図2】オプションによるリスクヘッジ(原資産+プット・オプションの買い)
原資産とプット・オプションを組み合わせたときのペイオフは、図3の実線であらわされる。原資産とプット・オプションの組み合わせにより、プレミアムの支払い分だけ価格上昇時の利益は減少するが、価格下落時の損失はプレミアム分までで抑えることができる。
【図3】オプションによるリスクヘッジ(原資産+プット・オプションの買いのペイオフ)
オプションとは単一の金融商品を指すのではなく、金融商品の性質を指しており、権利行使のタイミングや権利行使が可能になる条件によって様々な種類がある。
満期までにいつでも権利行使できるオプションはアメリカン・オプション、満期のみに行使できるオプションはヨーロピアン・オプションと呼ばれる。また、権利行使できるタイミングが複数設定されている場合、ヨーロッパとアメリカの中間にあることから
バミューダ・オプションと呼ばれる。
一般に、コール・オプションやプット・オプションは単純なオプションであると考えられており、プレーン・バニラと呼ばれる。それ以外にも様々な条件が定められたオプションが存在し、それらはプレーン・バニラに対しエキゾチック・オプションと呼ばれる。例えば、原資産が満期までにある価格に達したときに権利が有効(または無効)になるバリア・オプションがある。