先物取引(Future Contract)及び先渡取引(Forward Contract)とは、将来のあらかじめ定められた期日に、特定の商品を現時点で決めた価格で売買する契約を指す。
取引が取引所で行われ、
差金決済による決済が行われる場合には、先物取引と呼ばれる。一方、取引が店頭で行われ、現物決済による決済が行われる場合には、先渡取引と呼ばれる。
さらに詳しく
【ポイント】
先物取引と先渡取引は、主にその取引方法と決済方法に関して異なる特徴を有する。
先物取引は、取引所を通じて行われる。先物取引は、日時・数量などの取引条件が標準化されているため、契約の決済期日(
限月)の前に転売や
反対売買によって取引を解消することが比較的容易である。また、決済については、直接の商品の受渡しは行われず、差金決済と呼ばれる方法で行われる。この差金決済による契約を担保するため、先物取引には
証拠金が必要となる。
それに対し、先渡取引は店頭で取引が行われる。先渡取引は、売り手と買い手の交渉によって個別に契約が締結される相対取引であり、基本的にはあらかじめ定められた決済期日に契約が履行される。また、決済方法については、実際に商品の受渡しを行う現物決済が行われるが、先物取引と異なり、基本的には証拠金が必要とされない。
先物取引・先渡取引は、将来のあらかじめ定められた期日に、特定の商品を現時点で決めた価格で売買することを確定する契約である。そのため、将来の商品の価格変動によるリスクを抑制し、安定した利益を確保するためのヘッジの手段として用いられる。
例えば、トウモロコシを売りたい農家が利用する場合を考える。農家は、今期に収穫するトウモロコシの売却価格を収穫前に確定させることで、異常気象や食料政策などによる将来の価格の下落を回避することが可能となる。一方、価格が上昇した場合、先物取引を利用せずに時価で売却していれば得られていたはずの利益を得ることはできなくなる。
先物取引では差金決済が行われるため、少額な証拠金から大きな金額の取引を行うことが可能である(レバレッジ効果)。そのため、先物取引はリスク・ヘッジの手段としてのみではなく、投機の手段としても用いられることがある。投機として先物取引が用いられる場合には、少額の初期投資から多額の利益を獲得することも可能となるが、初期投資額を越えて損失が膨らむ可能性も発生する。実際に損失が膨らんだ場合には、追加の証拠金を差し入れなければならないこともある。