種類株(Classified Stock)とは、「種類株式」のことであり、各株式の権利が同一である普通株式と異なり、配当や残余財産の分配、議決権、譲渡などに関する事項について、特典や制限があるなど株主の権利内容が異なる定めをした株式のことである。
さらに詳しく
【ポイント】
会社法では、定款に定めることにより、企業は、権利内容の異なる2種類以上の株式を発行することが可能である。企業が発行する通常の株式は普通株式である。普通株式とは、原則として株主の権利内容が同一である通常の株式のことである。このことから、普通株式ではない特殊な内容を持つ株式のことを種類株と考えることも可能である。
2001年の商法改正(2002年4月1日施行)によって、経営権の安定化を図ることなどを目的に、より広い範囲で「種類株式」の発行が認められるようになった。旧商法においては、種類株の発行可能な範囲や条件がより厳格であったが、商法改正によって発行可能な範囲が広がり、また条件も緩和されたため、より広い範囲で種類株が活用可能になった。
種類株に認められている株主としての異なる権利内容には、
- 剰余金の配当
- 残余財産の分配
- 株主総会において議決権を行使することができる事項
- 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること
などがある。
例えば、1.や2.に関して、配当や残余財産の分配について、普通株式より優先的に受け取る権利がついた株式を「
優先株式」といい、逆に、普通株式より劣後して受け取る株式を「
劣後株式」という。3.に関して、議決権が制限された「議決権制限株式」や議決権のない「無議決権株式」などがある。4.に関して、株式の譲渡に対して会社の承認が必要、または一定の場合にのみ譲渡承認があったものとみなして譲渡が可能になる「譲渡制限株式」がある。
上記以外にも、各条件のもとで株式取得が可能である「取得請求権付株式」、「取得条項付株式」、「全部取得条項付株式」や、重要事項に対する拒否権が付与された「拒否権付種類株式(
黄金株)」、株主総会以外(種類株主総会)での役員の選解任が可能になる「役員選解任種類株式」などの発行が認められている。
種類株は、資本政策や敵対的買収の防衛策などに活用される。
例えば、議決権制限株式では、1単元当たりの株式数が異なる複数の種類の株式を発行することで、同じ株式数当たりの議決権数に差を設けることが可能になる。すなわち、種類株の発行によって事実上の議決権比率の異なる株式を作り出すことができる。これにより、会社の支配権を創業者やその他の大株主に残しつつ、資本市場からの資金調達が可能になるため、ベンチャー企業などで活用されることがある。
拒否権付種類株式は、敵対的買収の防衛策として用いられることがある。友好的な第3者に黄金株を発行し、敵対的買収による合併提案などに対して拒否権を発動させることで買収に対する防衛策となる。