Nelson‐Siegelモデルとは、
イールド・カーブ及び
金利の期間構造を表現するモデルの1つで、実務においても用いられるモデルである。モデルの表現がシンプルで、データへのフィッティングやパラメータの推定が容易であることが特徴的である。
Nelson‐Siegelモデルは、他のイールド・カーブのモデルと比較して、パラメータの数が少ない。このモデルの特徴が有する利点は、モデルがデータにオーバーフィットしない点である。パラメータの数が多い場合、事後的に観察されるデータに過度に当てはまりが良くなるようにパラメータが推定されてしまうため、推定に用いたサンプル期間以外での債券価格(利回り)の予測能力が低くなってしまう。Nelson‐Siegelモデルはシンプルかつデータへのフィットも良いだけでなく、サンプル期間以外での債券価格(利回り)の予測の精度も高いこともあり、広く活用されている。
Nelson‐Siegelモデルでは、瞬間
フォワード・レートを以下のような関数型を用いて表現する。ただし、
mは満期、
β0、β1、β2、τはパラメータである。
また、各満期におけるイールドは次のように表される。
モデルの係数β0、β1、β2は、フォワード・レート・カーブやイールド・カーブの異なる満期における形状にどのような影響を与えるかを表している。それぞれ、β0は長期の要因、β1は短期の要因、β2は中期の要因を表すパラメータである。
(参考文献)
Nelson, C. R., & Siegel, A. F. (1987). Parsimonious modeling of yield curves. Journal of business, 473-489.