ナローフレーミング(Narrow Framing)とは、複数の意思決定を行う際に、人が個別の問題にのみ注目し、それらを組み合わせた全体の問題を無視しがちな傾向のことを指す。
TverskyとKahnemanは1981年に下記の2つの意思決定を同時に行う際に、それぞれどちらの選択をするかをするのかをたずねた実験を行い、以下の結果を得ている。
意思決定①
A) 確実に240ドルをもらえる。
B) 25%の確率で1,000ドルが得られ、75%の確率で何ももらえない。
意思決定②
C) 確実に750ドルの損失を被る。
D) 75%の確率で1,000ドルの損失を被り、25%の確率で何も支払わない。
意思決定①では84%がAを選択し、②では87%がDを選択している。
しかし、上記の意思決定において、多くの人が選択した選択肢(AとD)と、選択しなかった選択肢(BとC)を組み合わせると、
A+D) 25%の確率で240ドルを得られ、75%の確率で760ドルの損失を被る。
B+C) 25%の確率で250ドルを得られ、75%の確率で750ドルの損失を被る。
になる。
このことから、多くの人が個別の意思決定にとらわれており、得られる金額の期待値が低く、且つ損失が大きい方を選択してしまっていることがわかる。
投資の意思決定においては、投資家が
ポートフォリオ全体ではなく、個別の証券にのみ注目して意思決定を行う傾向のことをいう。例えば、ナローフレーミングの影響を受けた投資家は人気のセクターに多くの資産を配分してしまい、ポートフォリオ全体でみると、そのセクターの割合が過剰になってしまう場合などが挙げられる。
Tversky, Amos, and Daniel Kahneman. "The framing of decisions and the psychology of choice." Science 211.4481 (1981): 453-458.