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  • No : 1166
  • 公開日時 : 2018/09/27 15:30
  • 更新日時 : 2023/08/07 13:37
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債券価値評価

債券価値評価
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回答

債券価値評価(Bond Valuation)とは、債券の現在価格、元利金と元利金が発生するタイミングの情報を用いて、債券の利子率である最終利回りを計算することをいう。また、債券の元本、利息及び利回りの情報を用いて、債券の理論価格を導出することも債券価値評価の一種である。
 
債券はキャッシュ・フローのパターンによって、利付債割引債の2種類にわけられる。利付債は、定期的に利息(クーポン)が支払われ、満期時に元本が償還されるので、キャッシュ・フローが定期的に発生する。それとは異なり、割引債は利払いがなく、満期時に額面が一括償還されるので、キャッシュ・フローが1回のみ発生する。
 
利付債と割引債のキャッシュ・フローの発生パターンは異なるが、それらの債券価値評価の考え方は基本的に同じである。債券の利息及び償還あるいは売却によるキャッシュ・フローが債券価値の源泉となる。従って、債券価値はキャッシュ・フローをその期間に応じた割引率で割り引くことで導かれる現在価値であるといえる。

 
さらに詳しく

 
 
【ポイント】
 

  • 債券投資の収益源
投資家が債券に投資する場合、「クーポン収入」、「クーポンの再投資収入」及び「償還差益・売却差益」という3種類の収益を得られる。ここで、「クーポン収入」は、債券保有者に対して定期的に支払われる利息収入のことを指す。インカムゲインともいう。「クーポンの再投資収入」は、債券保有者が受け取ったクーポン収入を再投資して得られる収益のことを指す。最後に、「償還差益・売却差益」は、債券の購入金額と償還金額(満期まで保有した場合)ないしは売却金額(途中売却した場合)との差のことを指す。キャピタルゲインともいう。

 
  • 債券評価と最終利回り
債券の理論価格は、式1のように、各時点で発生するキャッシュ・フローを割り引いた現在価値の総和で求められる。その際に用いる割引率は、式1のr に示される最終利回り(複利)となる。各時点で発生するキャッシュ・フローを割り引く金利は、それぞれの残存期間に応じて異なる市場金利である。しかし、最終利回りは、全てのキャッシュ・フローを一定の金利で割り引くことを前提としている点で、平均的な割引率を意味するとともに、債券保有者の平均収益率ともいわれる。
 
債券価格と最終利回りの関係を見ると分かるように、債券価格と利子率としての債券利回りは逆の動き方をすることがわかる。
 
【式1】債券価格と最終利回り(複利)の公式
債券価値評価の式1
上記式にもとづき、債券のキャッシュ・フローの発生パターンを具体的に示したのが下記図である。
 
【図】債券価値計算の直感図
債権価値計算の直感図
 
債券の現在価格がわかっている場合、債券の元本の情報を用いて最終利回りを逆算することができる。なお、日本では、年に2回利払いがある債券の発行が多い。この場合、年間でr%の利払いを2回にわけて受け取るので、各回の受け取りは半分の⁄2となる。年2回利払いの債券の最終利回りを計算するには下記式にもとづき計算できる。
 
【式2】年2回利払いの債券単価と最終利回り(複利)の公式
年2回利払いの債券単価と最終利回り(複利)の公式

  • 様々な債券の収益率指標
最終利回りのほか、債券の収益率指標として、いくつかの指標がある。例えば、債券のクーポン収入のみに注目する直接利回り、クーポンと償還差益・売却差益に注目した単利最終利回りがある。
 
日本においては、慣習上、利付債の流通利回りや応募者利回り(新発債の利回り)には、単利最終利回りが使われている。ただし、単利最終利回りでは、利息の再投資機会を考慮していないため、投資尺度としては、複利計算にもとづいた最終利回りの方が適切である。
 
 

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