国際金融のトリレンマ(Impossible Trinity)とは、「自由な資本移動」、「為替相場の安定性」、「
金融政策の独立性」という3つの目標を同時に達成することはできず、このうち2つの目標しか選択できないことを意味する。
例えば、「自由な資本移動」と「金融政策の独立性」を選択したもとで金融政策を変更すると、金利など経済ファンダメンタルズが変化するため資本移動が生じ、為替相場が変化する。これは、「為替相場の安定性」が放棄されたことを意味する。この場合、
変動為替相場制度を採用することになる。
次に、「為替相場の安定性」と「金融政策の独立性」を選択したもとで金融政策を変更すると、先と同様、金利など経済ファンダメンタルズが変化する。このとき、為替相場を一定の水準に維持しようとするならば、資本移動を規制しなければならない。これは、「自由な資本移動」が放棄されたことを意味する。
最後に、「自由な資本移動」と「為替相場の安定性」を選択し、
固定為替相場制度を採用したとすると、為替相場を維持するために基軸通貨国と同様の金融政策を採用しなければならない。これは「金融政策の独立性」が放棄されたことを意味する。
各国は、この3つの目標のどれを重視するかに基づき、変動為替相場制度、固定為替相場制度、資本規制から通貨制度を選択することになる。