クローリング・ペッグ制度(Crawling Peg)とは、為替相場を小刻み、かつ、頻繁に、しかも長期的な限度を設けずに調整する
外国為替相場制度で、為替相場の辿る経路を予めアナウンスする制度である。
通常、インフレ率が高い国において採用され、為替相場を内外インフレ率格差と同率で切り下げるように運用される。インフレ率の高い国において、
単一通貨固定相場制度を採用し、自国の通貨を、例えば、米ドルに固定したとする。このとき、米国の物価水準は安定的であり、対米ドルの
名目為替相場は一定であることから、自国の物価水準が上昇すると、
実質為替相場が増価し、自国財の価格競争力が低下する。
これは、自国の一般物価水準をP、米国の物価水準をP*、自国通貨建て対米ドル為替相場をSとしたとき、実質為替相場SP*/Pの値が低下することを意味する。したがって、為替相場Sを自国物価水準の上昇率と同率で切り下げる(Sの値を上昇させる)ならば、実質為替相場を一定の水準に維持することができる。