公定歩合操作とは、
日本銀行が用いていた金融調節手段の1つであり、中央銀行が市中銀行に貸し出すときに適用される基準金利である公定歩合を上下させることで、
金融政策を行うことを意味する。例えば、公定歩合が引き下げられると、市中金利が低下するため、金融緩和効果を持つ。
なお、1994年の金利自由化以降、公定歩合と預金金利との直接的な連動性はなくなった。2006年以降、日本銀行は公定歩合という言葉を使わず、基準割引率及び基準貸付利率と呼んでいる。
また、公定歩合をオーバーナイト金利よりも低い水準に設定し、市中銀行に貸し出す割当量を変化させることで、政策金利であるオーバーナイト物金利をコントロールすることもできる。例えば、割当量を減少させれば、市中銀行は不足分を
インターバンク市場で調達するため、オーバーナイト物金利は上昇する。
したがって、インフレ懸念から公定歩合の引き上げが必要と判断される局面にもかかわらず、産業界、政界からの圧力などにより公定歩合を引き上げにくいときには、公定歩合を据え置きながら、割当量を減少させることで、オーバーナイト物金利を引き上げることができるという意味において、金融政策の自由度が高い。
但し、中央銀行の金融政策の意図が誤解される可能性がある。日本銀行でも長らくこの方式が採用されていたが、1998年の日本銀行法改正後は、誘導目標金利を公表し、直接的にオーバーナイト物金利をコントロールする方式に転換した。誘導金利目標が明確であるため、中央銀行の金融政策の意図が誤解されることはない、金融政策の自由度が低下する可能性があるとされる。