不完備契約とは、取引で発生し得る全ての状況とその対応を事前に全て記載することのできない契約、あるいは取引で発生した全ての事柄を第3者に立証することができないような状況で結ばれる契約のことをいう。
企業金融では、主に取引で発生し得る全ての状況とその対応を事前に全て記載する
完備契約を前提として議論が行われてきた。しかし、契約を完備契約にすることは困難であり、実際に契約締結後の再交渉がしばしば行われている。例えば、
銀行が破綻した場合に発生し得る出来事を事前に全て議論し、その対応を完全に契約に明記することは困難である。このような不完備契約にもとづく理論分析が進められている。