ホワイトナイト（White Knight）とは、敵対的買収に対する防衛策の1つである。敵対的買収に対する防衛策には事前（平時）に採用するものと事後（有事）に採用するものがあるが、ホワイトナイトは後者にあたる。

 

具体的には、敵対的買収を仕掛けられた場合、対象企業が友好的な買収を実施する企業または個人にアプローチし、その友好的買収者に会社を売却することがある。この友好的買収者のことをホワイトナイトと呼ぶ。「白馬の騎士」が対象企業の救世主になるというイメージから使われるようになった。一方で、敵対的買収を仕掛けた企業は「ブラックナイト」と呼ばれることもある。

 

ホワイトナイトは通常、敵対的買収者のTOB価格を上回る対抗TOBをかけるため、ある程度の資金力が必要となる。ただし、敵対的買収者が更なるカウンターオファーを提出する等して買収価格が吊り上がった場合、投資リターンが見込めない等の観点から撤退することもある。また、ホワイトナイトの出現によって対象企業が自ら自社売却を公にすることになり、これが新たな買収候補（グレイナイト）を引き寄せる可能性もあるため、結果的に対象会社は想定外の買収者の傘下に入る可能性もある。

 

対象企業としてはホワイトナイトに買収されることにより、友好的な形で他社の傘下に入るメリットはあるものの、自社を売却し独立性を失うことに変わりはない。