リアルオプション (Real Option) とは、企業の投資プロジェクトに付随する、将来行使可能な権利を指す。これは、将来のキャッシュフローに不確実性がある場合に、プロジェクトや資産の持つ柔軟性を高く評価し、事業価値評価に反映する考え方である。リアルオプションを考慮した事業価値評価では、オプション価格理論を援用することで、将来行使可能な権利を金融オプションに見立てて評価する。
例えば、投資プロジェクトを取り巻く事業環境が今後大きく変化する可能性がある場合、投資プロジェクトの実行を望ましいタイミングが来るまで延期する権利を持つことは、事業価値にとってプラス材料と考えられる。プロジェクトの実行を延期することで、事業環境に関する追加的な情報を獲得した上でプロジェクト実行の判断を行うことができるためである。この例では、プロジェクト延期の選択肢を
コール・オプションと考え、事業価値評価を行うことになる。
リアルオプションには、どのような例に対しても適用可能な標準的理論は存在しないが、いくつかの類型化された応用例が存在する。例として、投資プロジェクト実行後に事業から撤退する権利を考慮する
撤退オプションや、投資プロジェクト実行後に事業拡大する権利を考慮する
拡張オプションが挙げられる。