バラッサ=サミュエルソン効果(Balassa=Samuelson Effect)とは、貿易財部門の生産性上昇率の高い国では、一般物価水準が外国と比べて上昇すると同時に、
実質為替相場が増価する効果を意味する。
今、小国開放経済において、貿易財と非貿易財(サービスのように持ち運びが不可能であるため、貿易できない財)が存在し、貿易財については一物一価の法則が成立すると想定する。これは、貿易財の価格は世界全体の市場で決定されるため、小国である当該国にとっては所与であることを意味する。また、貿易財部門と非貿易財部門で労働移動が自由であると想定すれば、両部門間で賃金が均等化する。
このとき、当該国の貿易財部門で生産性が上昇したとする。このとき、貿易財価格は所与であるため、生産性の上昇は貿易財部門の賃金を上昇させる。この結果、非貿易財部門から貿易財部門への労働移動圧力が生じるため、非貿易財部門においても賃金が上昇する。
しかし、非貿易財部門においては生産性が上昇していないため、賃金の上昇分、非貿易財価格が上昇する。この結果、当該国では一般物価水準が上昇することで、実質為替相場が増価することになる。
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