競争法(Competition Law)とは、市場における公正で自由な競争を阻害又は制限しようとする行為を禁止する法律の総称であり、日本では「独占禁止法」がそれに相当する。反トラスト法(Anti-trust Law)とも呼ばれる。
M&Aは各国・地域の競争法を遵守して実行する必要があり、各国・地域の法制を確認し、競争当局(日本では公正取引委員会)に対する必要な手続(事前届出、事後届出等)を履践した上で取引を実行する。競争制限の程度が大きい取引では、M&Aの検討プロセスにおいて、各国・地域の競争当局からの許認可取得の可否、許認可取得に掛かる期間を分析して進めることが必要になる。
また、M&Aの検討プロセスにおいて競争事業者間で秘密情報を交換するにあたっては、ガン・ジャンピングに留意する必要がある。ガン・ジャンピングとは、M&Aの検討プロセスにおいて事業者間で競争上の機微情報を交換することや各事業者が協調的に行動することによって、M&Aの実行前に競争制限効果を先取りすることをいう。競争事業者間のM&Aでは、検討プロセスの初期段階で、ガン・ジャンピング違反を回避するための手続・運用を事業者間で合意することが必要となる。