損失回避(Loss Aversion)とは、人々は損失を避けるような意思決定を行う傾向が強いということである。KahnemanとTverskyは同じ額の利得を得るときの喜びに比べて、損失を被る悲しみは2倍であると述べている。損失回避は、授かり効果(Endowment Effect)やサンクコスト効果(Sunk Cost Effect)を説明することができる。
KahnemanとTverskyは1979年の論文で以下のような実験を行っている。
次の2つの選択肢からより好ましいほうを選択させる。
A) 80%の確率で4,000円もらえるが、20%の確率で何ももらえない。
B) 確実に3,000円をもらえる。
同様に、次の2つの選択肢から好ましいほうを選択させる。
C) 80%の確率で4,000円を支払わなければならないが、20%の確率で支払わなくてよい。
D) 確実に3,000円を支払う。
この実験を95人に行ったところ、下記の表のような結果が得られている。
実験の結果、利益獲得局面では確実な選択肢を選び、損失局面では確実な損失を避け、リスキーな選択をして損失を回避しようとする傾向があることがわかる。
(参考文献)
Kahneman, Daniel, and Amos Tversky. "Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk." Econometrica 47.2 (1979): 263-292.