為替介入(外国為替市場介入)とは、通貨当局が、
外国為替市場における需要・供給の関係を通じ自国通貨の為替相場に影響を与えることを目的として、外国為替市場で直接的に
外国為替取引を行うことを意味する。正式名称は「外国為替平衡操作」という。
為替介入の目的には、為替相場の急激な変動を抑え為替相場を安定化させること(smoothing)と為替相場を目標水準に誘導すること(targeting)がある。あくまで、外国為替市場における需要・供給の関係を通じて自国通貨の為替相場に影響を与えることを目的とするため、外国為替市場で不均衡が発生したまま、外国為替取引そのものを規制する為替管理とは異なる。
為替市場の動向と逆方向に介入する場合(例えば、為替市場が円高基調にあるとき、円安方向に介入する場合)を「風向きに逆らう介入(Leaning against the Wind、抑制介入)」、為替市場の動向と同方向に介入する場合(例えば、為替市場が円安基調にあるとき、さらに円安方向に介入する場合)を「風向きに沿った介入(Leaning behind the Wind、促進介入)」と呼ぶ。
また、為替介入の方式には、「不胎化せざる介入(非不胎化介入)」と「不胎化介入」がある。下記図は、為替市場で円高・ドル安が進行しているもとで、過度な円高・ドル安を是正するため、または、円安・ドル高に誘導するため、通貨当局が円売・ドル買介入した場合の「不胎化せざる介入」と「不胎化介入」後のバランス・シートの変化を表している。
【図】
不胎化せざる介入では、ドル買に相当するだけ
外貨準備が増大し、それと同額、円売に相当するだけ現金通貨が増大する。したがって、現金通貨の増加は、
マネタリー・ベースを増加させるため、国内において物価上昇懸念を生む場合がある。これに対し、不胎化介入においては、この現金通貨の増加を抑えるため、ドル買・円売介入と同時に、これと同額、市場に国債を売却するオペレーションを行う。この結果、国内信用における対政府信用が減少する一方、これと同額、現金通貨が減少し、マネタリー・ベースを介入前と同じ水準に維持できる。