ゼロベータCAPM(Zero beta CAPM)とは、市場に
安全資産が存在しない場合においても
CAPMの関係式が成立することを示したモデルである。
実際の市場では、安全資産の貸借の利子率が同じであることはなく、同一の安全資産でいくらでも貸借できるということはない。Black(1972)は、安全資産が存在しないときの均衡リターンを導出している。安全資産が存在する場合とは異なり、安全資産の代わりに、ゼロベータポートフォリオと呼ばれるポートフォリオのリターン(E(R
Z))がリスクプレミアムを求める際に使用される。具体的にはE(R
i)=E(R
Z)+β
i[E(R
M)-E(R
z)]で表される。
ゼロベータポートフォリオは
マーケットポートフォリオ(R
M)との共分散がゼロ、すなわち、
ベータの値がゼロとなることからこの名が付けられている。ゼロベータポートフォリオは、効率的フロンティアのマーケットポートフォリオとの接線が縦軸と交わる点から横軸に平行な線を引いたときの最小分散フロンティアとの交点である。