通貨発行益とは、政府、中央銀行が発行する補助貨幣(コイン)、紙幣から、その製造費用を控除した発行利益である。貨幣鋳造税、シニョリッジ(Seigniorage)とも呼ばれる。
t-1期末における名目マネーストック(貨幣発行残高)をM
t-1、t期末における名目マネーストックをM
tと表すと、t期中に新たに発行したマネーストックは、M
t- M
t-1と表せる。ここで、
貨幣を発行する費用をゼロと仮定し、t期の物価水準Ptと表せば、中央銀行は新たに発行した貨幣を用いて、
単位の財を購入できる。これが、通貨発行益、または、貨幣鋳造税である。これは、中央銀行にとっては、貨幣の発行によって購入した財の単位数を表すため、通貨発行益と呼ばれる。一方、民間部門にとっては、中央銀行に移転した財の単位数を表し、あたかも中央銀行に徴税されたかのようにみなせるため、貨幣鋳造税とも呼ばれる。
なお、シニョリッジとは、中世の封建領主(フランス語でシニョール、Seignior)が、額面より安い費用でコインを鋳造し、その差額を財政収入としていたことが語源になっている。