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  • No : 2727
  • 公開日時 : 2023/09/01 11:21
  • 更新日時 : 2023/09/01 11:42
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DCF法

DCF法
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回答

DCF法(でぃーしーえふほう、Discounted Cash Flow法)とは、企業、事業、プロジェクト、不動産等の評価対象物について、そこから創出される将来のキャッシュフローをベースに価値を評価する手法である。キャッシュフローをベースに評価する手法であるため、金(Gold)、車、時計、アート等のそれ自体がキャッシュフローを生み出さないものはDCF法で評価することはできない。
 
DCF法はファイナンス理論の基本である現金を価値の基準とみなす考え方と現在価値の考え方に立脚しており、実務上一般的に使用される価値評価手法の中で最も理論的とされる。
 
DCF法では将来の全てのキャッシュフローをある一定の期間毎(年毎、四半期毎、等)に区切った上で現在価値に換算し、それを足し上げることで評価額が求められる。年毎にキャッシュフローを区切り、n年間キャッシュフローが続く場合のDCF法による評価額の計算式は以下の通りである。
 
計算式
 
割引率rは評価対象物から生まれるキャッシュフローの変動リスクの大きさに応じて決まる。変動リスクが大きければ割引率は高くなり、変動リスクが小さければ(即ちキャッシュフローが安定していれば)割引率は低くなる。割引率は実務的には将来期間に亘って一定のものを用いることが多い。
 
以下では、企業価値評価の場面におけるDCF法について述べる。
 
DCF法が企業の価値評価で用いられる場合、その定義は厳密にはフリー・キャッシュ・フロー(以下、FCF)をベースに企業価値を算出するエンタープライズDCF法と、株主に帰属するエクイティ・キャッシュ・フローをベースに株式価値を直接算出するエクイティDCF法に分けられるが、一般的にDCF法といった場合、エンタープライズDCF法を指す。(以下ではエンタープライズDCF法のことを単にDCF法と呼ぶ。)
 
DCF法で算出されるのは企業価値であるため、株式価値を算出するためには、企業価値から有利子負債や優先株式非支配株主持分等、株主以外に帰属する価値を控除する必要がある。また、DCF法はFCF(債権者と株主に帰属するキャッシュフロー)をベースとすることから、対応する割引率はWACC(加重平均資本コスト)を用いる。企業の価値評価においては、企業が永続するという前提を置くことが一般的であり、無限に将来のキャッシュフローを予測しその現在価値を計算することは出来ないことから、計画期間を一定期間に区切った上で、当該期以降のキャッシュフロー及びそれに伴う現在価値は、一定の成長率を用いて継続価値(ターミナルバリュー)として算出する。なお、この点に関し、企業に限らず事業やプロジェクト等も永続するのであれば、同様に継続価値を用いて計画期間以降の価値を算出する。
 
DCF法を他の価値評価手法と比較した場合の主な特徴として、評価対象企業の将来性や個別性を詳細に織り込むことが出来るほか、M&Aの場面においては当該M&Aによるシナジー効果を詳細に反映することが可能という点が挙げられる。一方で、一般的に客観性の担保が困難な将来計画の置き方によって評価結果が大きく変動する可能性があることに留意が必要である(特に将来計画の見立てが評価者若しくは将来計画の策定者によって大きく異なるような企業を評価する場合)。
 

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