金融市場調節方針とは、中央銀行の金融政策運営に関する基本方針を意味する。
中央銀行による
金融政策の主たる目的の1つに物価の安定があるが、物価水準は国内の総需要と総供給の関係を反映し、中長期的に調整されることを踏まえれば、日々の金融政策運営を「今日のインフレ率を〇%にする」という方針に基づき行うことは、意味を持たない。このため、日々の金融政策を運営する際、検証可能な具体的な運営方針を決定する必要が生じる。
通常、中央銀行は、短期金利または中央銀行当座預金残高に関する運営方針を定期的に点検し、決定する。これを、金融市場調節方針と呼ぶ。なお、金融市場調節方針を短期金利とする場合、「金利ターゲット」、中央銀行当座預金とする場合、「マネタリー・ターゲット」と呼ぶ。
日本銀行においては、「
金融政策決定会合」で金融市場調節方針が決定される。金融政策決定会合とは、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の会合のうち、金融政策の運営に関する事項を審議・決定する会合を意味し、年8回開催される。日本銀行は金融政策決定会合で定められた金融市場調節方針に従い、金融市場において資金の供給や吸収を行う。その主たる手段が、金融機関を相手に行う資金の貸付けや
国債などの売買を行う
公開市場操作である。