曖昧性回避(Ambiguity Aversion)とは、個人が意思決定に際して、結果の実現確率が曖昧な選択肢を避ける傾向を指す。
エルスバーグの逆説が生じる背景には、曖昧性回避が存在すると考えられている。
期待効用理論では十分に説明ができない曖昧性回避を表現するために、GilboaとSchmeidlerによるマキシミン効用などの新たな効用関数が提案されている。
しかし、Tverskyらの一連の実験研究により、曖昧性回避が常に生じるものではない可能性も指摘されている。例えば、結果に対する確率が曖昧である場合でも、直面する問題が個人にとって馴染みが深かったり、自信があったりする場合には、曖昧性に対して愛好的になることが考えられる。これをコンピタンス仮説という。また、曖昧性回避が生じるのは、他の選択肢に結果の実現確率が明らかにされているものが存在する場合であり、別々に意思決定を行う場合には、人々が曖昧性回避を示す傾向は見られないことが指摘されている。これを比較無知仮説という。
(参考文献)
Heath, C., & Tversky, A. (1991). Preference and belief: Ambiguity and competence in choice under uncertainty. Journal of risk and uncertainty, 4(1), 5-28.
Gilboa, I., & Schmeidler, D. (1989). Maxmin expected utility with non-unique prior. Journal of mathematical economics, 18(2), 141-153.