第3世代モデル(Third Generation Model)とは、
通貨危機の発生に関する理論の代表的な3種類のモデルのうち、国内の金融システムの脆弱性によって企業や金融機関のバランスシートが悪化し、通貨危機と金融危機が併せて発生するモデルである。1997年の
アジア通貨危機をきっかけに、Krugman(1999)によって提唱された。
第3世代モデルでは、通貨危機と金融危機の相互作用について説明している。通貨危機と金融危機の同時発生においては、通貨危機が金融危機を引き起こす場合と、金融危機が通貨危機を引き起こす場合がある。前者では、資本流入減や資本逃避が自国通貨の減価圧力となる。自国通貨の減価は、外貨建て債務を多く保有する一方で自国通貨建て債権も保有する自国の銀行や企業のバランスシートを棄損し、金融危機を発生させる。後者では、外貨建て借入を行う自国の銀行や企業のバランスシートの悪化が金融システムへの不安を生み出し、資本流入減や資本逃避を誘発して通貨危機を引き起こす。
(参考文献)
橋本優子・小川英治・熊本方雄,『国際金融論をつかむ』,有斐閣,2007年